外反母趾

外反母趾とは、足の親指（母趾）が人差し指（第二趾）の方向に「くの字」に曲がり、親指の付け根の関節が内側に突き出してしまう状態を指します。
この突き出た部分が「バニオン」と呼ばれ、靴との摩擦によって炎症を起こし、赤く腫れて痛むことが多くあります。
多くの方がこの「バニオン」の痛みを外反母趾の本体と考えがちですが、これはあくまで結果として現れた症状の1つです。
本質的な問題は、足の骨格構造そのものが崩れてしまっていることにあります。

遺伝的素因

ご家族に外反母趾の方がいる場合、骨格や足の形が似るため、発症リスクが高まる傾向があります。

足のアーチ構造の崩れ
（扁平足・開張足）

足裏には衝撃を吸収するアーチがありますが、このアーチが崩れる（扁平足や開張足）と、足が不安定になり、親指が曲がりやすくなります。

足の形

親指が最も長い「エジプト型」の足は、靴の先端からの圧迫を受けやすく、外反母趾になりやすいと言われています。

性差

外反母趾は女性に多く見られます。
これは、女性ホルモンが関節の緩みに関係することや、男性に比べて筋力が弱いことなどが影響していると考えられています。

不適切な履物

外反母趾の最大の外的要因は、靴です。
特に、つま先の細い靴やハイヒールは、親指を不自然な形に圧迫し、付け根の関節に過大な負担をかけます。
4cmのヒールで1.5倍、9cmでは3倍もの負担がかかるとも言われています。

長時間の立ち仕事や歩行

足の筋肉に疲労が蓄積し、アーチを支える力が弱まることで、変形を助長することがあります。

体重の増加

足にかかる負担が増え、アーチの崩れを加速させる一因となります。

これらの要因が組み合わさることで、足の骨格バランスが崩れ、外反母趾は徐々に進行していきます。

角度の目安

20°～30°

主な症状

特定の靴を履いた時に痛みを感じる。
付け根の突出は軽度。

角度の目安

30°～40°

主な症状

何も履いていない状態でも痛みを感じることがある。
足裏にタコができやすい。

角度の目安

40°以上

主な症状

日常的に痛みが強く、歩行が困難になることも。
親指が他の指の下に潜り込むなど、他の指の変形も引き起こす。

重要なのは、痛みの強さと変形の角度が必ずしも一致しないことです。
軽度でも強い痛みを感じることもあれば、重度に変形していても痛みが少ない場合もあります。
痛みが少ないからと安心していると、気づかないうちに症状が進行している可能性があるため注意が必要です。

症状、痛みの程度、履物の習慣、家族歴などについて詳しく伺います。

足の変形の程度、痛みの場所、関節の動き、タコの有無などを直接確認します。

体重をかけた状態でレントゲン撮影を行い、骨の角度（外反母趾角）を正確に測定し、重症度や関節の状態を評価します。
これが判断の基本となります。

親指に押された他の指が曲がってしまう「ハンマートゥ」や「クロートゥ」などを併発します。

足のアーチが崩れ、体重のかかり方が変わることで、足裏の特定の部分にタコや魚の目ができ、痛みが出ます。

足元と言う身体の土台が不安定になることで、歩き方のバランスが崩れます。
その結果、ゆがみをかばおうとして膝や股関節、腰にまで負担がかかり、痛みの原因となることがあります（運動連鎖の破綻）。

特に高齢者の場合、足指で地面をしっかり掴めなくなるため、バランス能力が低下し、転倒のリスクが著しく高まります。

これらのリスクを避けるためにも、外反母趾は症状が軽いうちに専門家へ相談し、適切な対応を始めることが非常に重要です。

私たちの施術は、40年以上の歴史を持つグループで培われた経験と知識に基づいています。
まず、痛みや腫れが強い場合には、特殊な電気治療器「ハイボルテージ」を用いて炎症をいち早く抑え、関節への負担を軽減します。
その後、身体がなぜゆがんでしまったのかを徹底的に見抜き、固くなった筋肉を緩め、逆に使えていない筋肉を活性化させることで、足裏のアーチ機能と身体全体の連動性を回復させます。
これは、足と言う「土台」を再構築し、症状の悪化を防ぐための非常に重要なステップです。
私たちは、あなたが痛みに悩まされることのない未来を共に築くためのパートナーでありたいと考えています。

当院では、一人ひとりの身体の状態に合わせたオーダーメイドの施術プランをご提案します。

徹底したカウンセリングと原因検査

まず、足の状態はもちろん、歩き方、姿勢、普段の生活習慣などを詳しくヒアリングし、痛みの根本原因を探ります。
さらに、体組成計を用いて筋肉量や左右の筋バランスを客観的に分析し、身体のゆがみを徹底的に特定します。

骨格へのアプローチ（手技療法）

検査結果に基づき、国家資格を持つ専門家が手技によって身体のゆがみを整えます。
足部だけでなく、骨盤や背骨といった身体の中心からバランスを調整することで、足にかかる負担を軽減します。

深層筋へのアプローチ（EMS「楽トレ」）

ゆがみを整えた良い状態を維持するためには、身体を支えるインナーマッスル（深層筋）の強化が不可欠です。
当院では、最新のEMS機器「楽トレ」を使用し、ご自身で鍛えるのが難しい深層筋を効率的にトレーニングします。
これにより、足のアーチを支える力を高め、再発しにくい身体の土台を作ります。

アフターケアと生活指導

施術効果を最大限に高め、ご自宅でも良い状態を維持していただくために、セルフケアのサポートも重視しています。
一人ひとりに合ったストレッチや正しい歩き方の指導、必要に応じて靴選びのアドバイスなども行います。

外反母趾は、日常生活での負担や筋力低下などが原因で進行することが多く、慢性的な症状として扱われるため、柔道整復師（接骨院）での施術は原則として健康保険の適用外とされています。

ただし、転倒や強い衝撃などによって急性の外傷（捻挫・打撲・挫傷など）を伴うケースでは、症状の原因がはっきりしているため、保険適用となる場合があります。

当院では、患者さん一人ひとりの症状や来院背景を丁寧に確認し、
・保険適用の可否
・必要に応じた医療機関との連携
などをスムーズに行える体制を整えております。

「保険が使えるのか分からない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。

足指のストレッチ＆エクササイズ

足指じゃんけん

足の指で「グー・チョキ・パー」を繰り返し行い、指の動きを良くします。

タオルギャザー

床に広げたタオルを足の指だけでたぐり寄せる運動です。
足裏の筋肉を鍛え、アーチをサポートします。

ホーマン体操

両足の親指にゴムバンドをかけ、かかとをつけたままゆっくりと親指を開く運動です。
親指を外側に開く筋肉を鍛えます。

痛みが強い時の応急処置

付け根が熱っぽくズキズキと痛む場合は、炎症を起こしている可能性があります。
ビニール袋に入れた氷などをタオルで包み、15分ほど優しく冷やしましょう（アイシング）。

正しい靴選び

これが最も重要な予防法です。

つま先の形

足指が圧迫されない、幅広でゆとりのあるデザインを選びましょう。

ヒールの高さ

前足部への負担を減らすため、ヒールは4cm未満が理想です。

サイズ

つま先に1cm～1.5cmほどの余裕（捨て寸）があり、靴の中で足が前に滑らないよう、甲の部分がしっかり固定できるものを選びましょう。

適正体重の維持

体重が増えると足への負担も増大します。
バランスの取れた食事と適度な運動で、体重をコントロールしましょう。

正しい歩行の意識

かかとから着地し、足裏全体に体重を移動させ、最後に親指の付け根でしっかり地面を蹴り出すように歩くことを意識しましょう。