原因不明の痛み・しびれ（首・肩・腕）

不快な症状も、原因を探るための重要なサインです。
ご自身の状態が下記に当てはまるかチェックしてみましょう。

痛みの種類

「ズキズキ」とした鈍い痛みは、筋肉の炎症や過度な緊張が原因かもしれません。
一方で、「ジンジン」「ピリピリ」といったしびれを伴う痛みや、電気が走るような鋭い痛みは、神経が圧迫されるなどして傷ついている可能性を示唆しています。

しびれの範囲

しびれがどの指や腕のどの部分に出るかによって、首の骨（頚椎）のどの部分で神経が圧迫されているかを推測できます。
これは「デルマトーム」と呼ばれる神経の支配領域に基づいています。
例えば、親指にしびれがあれば第6頚神経、小指側であれば第8頚神経の問題が疑われます。

伴う症状

痛みやしびれだけでなく、他の症状にも注意が必要です。
「腕に力が入らない」「物をよく落とす」といった筋力低下、「箸が使いにくい」「シャツのボタンがかけにくい」といった指先の細かい動作のぎこちなさ（巧緻運動障害）は、特に注意すべきサインです。

これらのサインを総合的にみることで、漠然としていた症状の輪郭が浮かび上がってきます。

首・肩・腕の症状の多くは、頭を支える重要な土台である頚椎に関連しています。

頚椎症

主に加齢によって、頚椎の骨や、骨と骨の間でクッションの役割を果たす椎間板が変形し、神経の通り道を狭めてしまう状態です。

頚椎症性神経根症

脊髄から腕へ向かう神経の根元（神経根）が圧迫されるもので、主に片側の腕に強い痛みやしびれが出ます。
首を後ろに反らすと症状が悪化するのが特徴です。

頚椎症性脊髄症

神経の幹である脊髄そのものが圧迫される、より重篤な状態です。
両手のしびれ、指先の使いにくさ、足のもつれによる歩行障害などが特徴で、自然回復は難しく、進行性であることが多いです。

頚椎椎間板ヘルニア

椎間板の中身が飛び出して神経を圧迫するもので、比較的若い世代にも起こります。
「寝違え」のような突然の激しい首の痛みで発症し、その後、腕への放散痛やしびれが現れるのが典型的です。

原因は首だけとは限りません。
次のような疾患も、類似の症状を引き起こします。

胸郭出口症候群

鎖骨周辺で、腕へ向かう神経や血管の束が圧迫されることで発症します。
つり革を持つ、洗濯物を干すなど、腕を上げる動作で腕や手のしびれ・だるさが強くなるのが特徴で、なで肩の女性や筋肉質な男性に多い傾向があります。

末梢神経障害

手首で神経が圧迫される「手根管症候群」や、肘で圧迫される「肘部管症候群」など、腕の特定の場所で神経が圧迫されてしびれや痛みを引き起こします。
糖尿病などが原因で、手足の末端から左右対称にしびれが広がる多発神経障害もあります。

「そのうちよくなるだろう」と軽く考えて症状を放置してしまうと、生活に大きな支障をきたす可能性があります。

特に頚椎症性脊髄症の場合、放置すると脊髄に回復不能なダメージが残り、永続的な機能障害に至るリスクがあります。
指先の細かい作業がますます困難になったり、歩行が不安定になったりするだけでなく、転倒などの軽い衝撃で四肢麻痺といった深刻な事態を引き起こす危険性も指摘されています。

もし、「腕や手の筋力が落ちてきた」、「歩くと足がもつれる、ふらつく」、「階段の昇り降りが怖い」、「排尿のコントロールがしにくい」といった症状が1つでもあれば、それは身体からの危険信号（レッドフラグ）です。
できるだけ早く専門機関に相談してください。

何科を受診すべきか迷う場合、骨・関節・筋肉・神経を専門とする「整形外科」が第一選択肢となります。
病院の検査で重篤な病気の可能性が除外された後、それでも続く不調の原因が、レントゲンには映らない「身体のゆがみ」や「筋肉のアンバランス」であることは少なくありません。
そのような構造的・機能的な問題こそ、私たち身体のプロフェッショナルが得意とする領域です。

当院では首・肩・腕に現れる原因不明の痛みやしびれに対して、症状の改善と再発予防を重視しています。
施術では硬くなった筋肉をゆるめ、背骨や骨盤を整えることで神経や血流の通りを改善し、自然な回復力を高めます。
さらに、姿勢を維持するインナーユニットを鍛え、正しく使えるよう導くことで首や肩への負担を減らし、安定した状態を保てる身体づくりをサポートします。
また、普段の姿勢や生活習慣、ストレスへの対処法についてもアドバイスを行い、症状の再発や悪化を防ぎ、安心して日常生活を送れるよう支援しています。

まず、しびれの症状や原因、患者の身体の状態を詳しくヒアリングします。
身体の評価: 姿勢や骨盤のゆがみ、筋肉のバランスなどを専門的な視点から評価します。
施術プランの提案: カウンセリングと評価に基づいて、姿勢矯正、EMS、栄養指導などを組み合わせた最適な施術プランを提案します。
姿勢矯正でゆがみを整えた後、EMSを用いてインナーマッスルを鍛え、良い姿勢を維持するための土台を作ります。
生活指導: 施術効果を持続させるため、自宅でできるストレッチやトレーニング、日々の姿勢の注意点、食生活のアドバイスなどを行います。

原因がはっきりしない首・肩・腕の痛みやしびれであっても、日常生活の動作や姿勢の乱れなど、明確なきっかケガある場合には健康保険の適用対象となることがあります。
しかし、保険施術のみでは、症状の背景にある骨格のゆがみや筋肉バランスの乱れ、自律神経の負担などへ十分に対応できず、改善が長引いたり繰り返したりする可能性があります。

当院では、早期回復と再発予防を重視し、保険施術に加えて、ハイボルト療法・骨格矯正・楽トレなどの自費施術を併用することで、より根本的なアプローチをご提案しています。

筋肉の緊張を和らげ、血行を促進するためのストレッチです。「痛気持ちいい」と感じる範囲で、ゆっくり行いましょう。

首周りのストレッチ

椅子に座り、背筋を伸ばします。
ゆっくりと首を真横に倒し、倒した側と反対の首筋が伸びるのを感じながら20秒キープ。
反対側も同様に行います。
次に、ゆっくりと首を前に倒し、首の後ろを伸ばします。急に回したり、強い痛みを感じるほど伸ばしたりするのは避けましょう。

胸のストレッチ

壁の横に立ち、片方の手のひらと肘を壁につけます。
壁につけた腕と同じ側の足を一歩前に踏み出し、ゆっくりと身体を前にひねって胸の筋肉を伸ばします。
デスクワークで縮こまりがちな胸を開き、巻き肩の改善に効果的です。

良い姿勢を保つための筋肉を鍛え、首や肩への負担を減らします。

チンタック（あご引き運動）

壁を背にして立つか、仰向けに寝ます。
後頭部を壁や床から離さないように意識しながら、二重あごを作るようにゆっくりとあごを引きます。
首の前側にある深層筋が鍛えられ、頭が前に出る姿勢を矯正します。

肩甲骨引き寄せ運動

両肘を90度に曲げて、アルファベットの「W」の形を作ります。
そこから、背骨に向かって左右の肩甲骨をゆっくりと引き寄せます。
背中の中部から下部の筋肉が強化され、猫背の改善や肩こり予防につながります。