肩こり

多くの人が日常的に使う「肩こり」と言う言葉ですが、実は正式な医学的診断名ではなく、首筋から肩、背中（肩甲骨まわり）にかけての不快な症状の総称です。
主に「重い」「張る」「痛い」といった感覚で表現されます。

単に筋肉がこわばるだけでなく、症状がひどくなると、次のような全身の不調を伴うことも少なくありません。

・緊張型頭痛
・吐き気やめまい
・眼精疲労
・腕や手のしびれ

これらの症状は、肩こりが局所的な問題ではなく、全身の健康に関わるサインであることを示しています。

肩こりに主に関わる筋肉は、重い頭を支え、腕を動かすために常に働き続けている「僧帽筋」や「肩甲挙筋」です。
これらの筋肉が過度に緊張し、疲労することで、特有の重さやだるさを生み出します。

現代人の肩こりの最大の原因は、日常生活における姿勢の乱れです。

デスクワークとスマホ操作

長時間同じ姿勢でPCやスマートフォンを操作することは、首や肩の筋肉に持続的な負担をかけ続けます。
特に、頭が前方に出る「ストレートネック（スマホ首）」の状態では、約5〜6kgもある頭の重さが首の付け根に集中し、筋肉は常に緊張を強いられます。

猫背・巻き肩

背中が丸まり、肩が内側に入る姿勢は、肩甲骨まわりの筋肉のバランスを崩し、特定の筋肉に過剰な負担をかけ、血行不良を招きます。

これらの持続的な負担は、「筋肉の緊張 → 血行不良 → 痛みを引き起こす物質の蓄積 → さらなる筋肉の緊張」と言う、抜け出すことのできない「負のスパイラル」を生み出します。

意外に思われるかもしれませんが、ストレスは肩こりの強力な誘因です。
精神的な緊張状態が続くと、自律神経のうち身体を興奮させる「交感神経」が優位になります。
これにより、無意識のうちに筋肉がこわばり、血管が収縮して血行が悪化するため、肩こりが悪化しやすくなるのです。

夏場の冷房や冬の寒さなどで身体が冷えると、体温を逃さまいとして血管が収縮し、血行が悪くなります。
また、筋肉も熱を生み出そうと緊張するため、こりや痛みを感じやすくなります。

まれに、肩こりが他の病気のサインとして現れることがあります。
変形性頸椎症や頸椎椎間板ヘルニアなどの首の骨の異常、あるいは狭心症などの心臓疾患や肺の病気などが原因で、肩に関連痛として症状が出ている場合もあります。
安静にしていても痛みが続く、日に日に痛みが強くなるなどの場合は、自己判断せず医療機関を受診することが重要です。

首まわりの筋肉の緊張が続くと、頭部への血流が悪化して緊張型頭痛を引き起こしたり、平衡感覚に関わる神経に影響が出て「頸性めまい」と呼ばれる浮遊感やふらつきを招いたりすることがあります。

緊張して硬くなった筋肉が神経を圧迫し、腕や指先にしびれや痛み（知覚異常）が生じることも少なくありません。

慢性的な痛みはそれ自体がストレスとなり、自律神経のバランスを乱します。
その結果、吐き気や動悸、全身の倦怠感、不眠など、さまざまな全身症状につながる可能性があります。

絶え間ない痛みや不快感は、仕事や家事への集中力を奪い、生活の質（QOL）を著しく低下させます。

このように、肩こりは心身の健康を蝕む危険なサインです。
症状が慢性化する前に、根本原因に目を向け、適切な対策を講じることが何よりも重要です。

当院では肩こりの施術において、症状の軽減と根本的な改善を大切にしています。
肩こりは長時間のデスクワークやスマホ操作、姿勢の乱れ、ストレスなどが原因となり、首や肩の重だるさや頭痛、めまいを引き起こすこともあります。

施術では硬くなった首や肩の筋肉をゆるめて血流を改善し、背骨や骨盤のバランスを整えるとともに、姿勢を維持するインナーユニットを鍛え、正しく使えるように導くことで再発しにくい身体づくりを目指します。
また、日常生活での姿勢や簡単にできるストレッチ、仕事中の休憩の取り方などセルフケアの方法もお伝えし、快適な状態を長く維持できるようサポートします。

まず、肩こりの症状、日常生活での姿勢や習慣、仕事内容などを詳しくヒアリングします。
姿勢分析ツールなどを用いて、骨盤や背骨のゆがみ、肩甲骨の動き、筋肉の硬さなどを評価します。
そして、カウンセリングと評価に基づいて、姿勢矯正、EMS、栄養指導などを組み合わせたオーダーメイドの施術プランを提案します。

姿勢矯正で骨格のゆがみを整え、その後にEMSで姿勢を支えるためのインナーマッスルを強化します。
施術効果を持続させるため、ストレッチ方法や正しい座り方・立ち方、食生活に関するアドバイスなどを行います。

肩こりは、姿勢の乱れや筋緊張、日常生活での疲労の蓄積などによって起こることが多く、慢性的な症状として扱われるため、接骨院での施術は原則として健康保険の適用外となります。

ただし、転倒やスポーツ中の負傷など、原因が明確な急性のケガ（捻挫・打撲・挫傷など）として肩周辺の痛みが発生した場合には、保険が適用されるケースがあります。

当院では、患者さんの症状や発生背景を丁寧に確認し、
・保険適用の可否の判断
・必要に応じた医療機関との連携
をスムーズに行える体制を整えております。

「肩こりでも保険を使えるの？」と迷われる方も、まずは一度ご相談ください。丁寧にご説明し、最適な施術方法をご提案いたします。

モニターの上端が目線の高さか少し下になるように調整し、肘が90度になるように椅子の高さを合わせましょう。
30分に一度は立ち上がって身体を動かすことを意識するだけでも、筋肉の緊張は大きく変わります。

両手を後ろで組み、胸を張るようにして肩甲骨をぐっと寄せます。気持ち良いところで20〜30秒キープしましょう。
これにより、丸まった肩を開き、肩甲骨まわりの血行を促進します。

38〜40℃程度のぬるめのお湯に15分ほど浸かることで、全身の血行が促進され、リラックス効果により筋肉の緊張が和らぎます。

枕の役割は、寝ている間に首の骨（頸椎）を自然なカーブに保つことです。
仰向けで寝る場合は比較的低めのもの、横向きで寝る場合は肩幅に合わせて少し高めのものを選ぶのが理想です。
朝起きた時に首や肩が痛い方は、枕が合っていない可能性があります。